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「光弦、ただいま。ごめんな、連絡しなくて」
そっと背に手を置く。丸まった背中は、寝息に合わせて規則的に上下するだけだった。
仕事をしながら変な時間に軽食を摂ってしまったため、空腹感はあまりない。せっかく用意してくれたのに悪いと思いつつ、食器を片付けた。コンロに置かれた鍋の中のカレーは、すでに冷めていた。炊飯器の中のご飯をタッパーに入れ、味付け前のサラダにラップをかけて、全て冷蔵庫に入れる。明日の昼にでも食べればいい。
風呂場で服を脱ぎながら、明日のことを取り止めもなく考える。朝食はあっただろうか。冷凍庫に、特売日にまとめ買いした食パンが冷凍してあるはずだ。古いパンは味が落ちていて好きではないが、早く消費しないといけない。ほかは卵と牛乳くらいしかないかもしれない。明日は映画のあと買い物に行こう。
熱いシャワーを浴びても、ほっと一息つくどころか、頭は目まぐるしく回転し続ける。仕事モード、つまり戦闘態勢が抜けていってくれない。
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