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ミユキちゃんのお父さんのミユキちゃん自慢を小一時間聞いて俺は、ミユキちゃんの家をあとにする。ミユキちゃんは学校では友達がいないだろうが、ちゃんと家族に愛されている。それを確認して、一人歩く夜道、胸を抑えた。このドキドキの理由は決して厳しい言葉遣いに驚いたからではない。愛しいと思ったからだ。明日、いきなり告白するのは勇み足になるだろうが、多分、いやきっとミユキちゃん以上に好きになれる人はこの先現れない。確信がある。それにあんな可愛い生き物と生涯添い遂げられたならば、どんなに幸せだろう。俺は覚悟を決める。お嫁さんにするならばミユキちゃんだ。
翌日の放課後に再びサッカー部の練習が始まる。ファン達も集まり、その中にはミユキちゃんもいる。ファンたちは屯して応援しているが、ミユキちゃんはその集団から外れて一人で応援している。練習中もついミユキちゃんの姿を目で追ってしまう。相変わらずキラキラした目で俺を見ている。練習も一段落つき、休憩となる。俺は今だとミユキちゃんのもとへ行く。
「ねぇ、ミユキちゃん。昨日の今日で言うのも申し訳ないけど、俺のこと好き?」
こんな聞き方は卑怯な気もするが、ある程度の自信があって聞いている。
ミユキちゃんは顔を真っ赤にしてうつむきながら答える。
「私は……貴様の死ぬざまが見たいんだ……」
今までのミユキちゃんのパターンから考えて俺は一つの結論に辿り着く。
「俺が死ぬまで一緒にいたいってこと?」
「貴様……、二度も同じこと言わせるな……」
「俺もね、ミユキちゃんと死ぬまで一緒にいたいんだ。同じだね」
ミユキちゃんの顔があがり、ポロポロと涙が溢れる。
「貴様……ならば、ちゃん付けをやめてくれ……」
「うん。ミユキ、これからよろしくね」
そう告げてから俺はミユキの手を握って他のファンのもとへ引っ張っていく。
「みんな! このミユキは俺の彼女になった! できれば仲良くしてくれ!」
えぇ!!? と声が上がる中、ミユキは俺の横っ腹に一生懸命パンチを食らわせているが非力過ぎて全く痛くない。猫のパンチのほうがはるかに痛いくらいだ。
「貴様! 私を辱めるか! 許さん許さん!」
ファンたちは、そんなミユキを見てクスクスと笑う。
「あんたって、そんな可愛い子だったんだ? ミツグさんにお願いされたらイヤとは言えないよ。これからよろしくね」
その言葉を聞いたミユキは、また涙を流しそれを手で拭う。
「あーあ、ミツグさん、ミユキちゃん泣かしちゃったぁ」
ファンたちが俺を冷やかす。
「大丈夫だ。泣かすのも俺だけど笑かすのも俺だから」
「貴様! そんな軽口を叩いて恥ずかしくないのか?」
また、ポカポカとミユキは俺を殴るが、ミユキがそうやってもただ可愛いだけなんだよね。
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