□エピソード1

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□エピソード1

〜エピソード1〜   「ボス、ただいま帰りました」 「おかえり、朱里。 ヤツを仕留めたか?」 「はい。久城は私が完璧に処理しました」  この男性(ひと)は私のいる殺し屋のボス。名前はアルファベットでKENGO(けんご)。  KENGOという名前以外は知らない。 「よくやった、朱里。さすがだな」 「……ありがとうございます」  ボスは私の命の恩人。そして私をこの【殺し屋】という世界に招き入れてくれた張本人。  私は復讐のため、ボスの元で働いている。全てはボスのため、そして復讐のためだけに。  この世界で生きていくために、私は女という武器をとことん使う。 この世界で生き抜くためには、そのくらいの覚悟がないと生きることなんて出来ないのだ。  これが間違っているなんて、私は思ってない。これが私の生き方だから。   ボスと共に、そして復讐を果たすために、私はこの世界で生きることを決めたのだから。 「朱里、証拠は何も残していないな?」 「もちろんです。完璧に処理しました。 久城は自殺で処理されるはずです」 「そうか。ならいい」  ボスは三十五歳で、私は二十三歳。一周りも離れているけれど、ボスは私の味方でいてくれる。  私のよき理解者であることに変わりはない。 「朱里、こっちに来なさい」 「はい」  私とボスは密かに関係を持っている。でもそれは、他の仲間は知らないことだ。  この世界に引き入れてくれたことへの感謝しかないからこそ、私はボスを信用している。
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