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ーーーー「おい、テメェ頭イカれてんのか?」
無理だった。
徹夜で睡魔と闘いながら、こまめに寝落ちし、取引先に投稿を終えた頃、予告通りに迎えにやって来た渡里 大河。
昨日企てた作戦を実行するも、開口一番で滅多切りに遭う。
「....いや〜ですからね〜。見ての通りですよ。見て!この隈だらけのヨボヨボな目を。」
よれた寝巻き、風呂にも入ってないボサボサヘア。ブルーライトカット用の眼鏡は、手の脂なのか指紋がべったりと付着し、汚らしい。
睡眠不足の死に掛けた私を見下ろす鋭い目付きは、恐ろしくって直視したら、瞬殺。狩られてしまいそうな勢いだ。
「大丈夫だ安心しろ。これから風呂にも入れてやるし、なんならその青褪めた顔面をいちから超絶美女に変えてやる。」
「....はい?何の話してんすか。」
「だから、これから行く場所には、今のお前じゃ不釣り合いだから、ドレスアップしに行くんだよ‼︎」
一歩間を詰めて、大声で怒鳴られれば、思わず両耳の穴を人差し指で塞いで、顔を顰めてしまった。
何でこの男は、私に怒鳴ってばかりなのか....。
もっとレディに優しくなろうぜ、社長さんよ〜。世の中アンタの容姿で言いなりになる女は五万と居るだろうが、私はその五万の内の一人には入らない。
「....は?今なんか言ったか?」
「いっ、いえ!何でも御座いません‼︎直ぐにまともな格好に着替えて参ります‼︎‼︎」
「宜しい。」
心の声を感付かれ、成す術無し。拒否権を行使する手札は持たぬ。
不恰好にも四つん這いで、慌てて二階へと駆け上がれば、部屋に駆け込みクローゼットから洋服を引っ張り出した。
ここ数年間で一番の俊敏さを誇る。タイムは驚異の自己ベスト更新だ!
さあ、ボーナスは何なのか....。
「遅い。時間が無いからさっさと行くぞ。」
さて、私は何処へ連れ去られるのか....。
ーーー『次回!引き篭もりモブ第二話!ブスホ、闇の帝王の奴隷にされる‼︎の巻。』
「さっきから、ブツブツうるせーんだよ。」
「す、すみません....。」
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