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「ちょっとテラちゃんあの話聞いた〜?」
「ん?何が、」
「ちーちゃんが女の子探してるって....。」
「へぇ〜。あの千尋がな....。」
暦の上では、夏真っ盛りの某月。某日闇夜が支配した刻の頃が宴の始まりの合図。
某会の主催者たちは、某ゲストの到着を待つ。
パーティーのドレスコードとまではいかないが、お洒落なハイブランドに身を包んだ派手な装い。
集合時刻よりも少しだけ早い到着をした彼等二人は、これからやって来るであろう男等の話題で大盛り上がりだ。
右手に花、左手にグラス。はだけた胸元へ忍ばせる手は、お構い無しに鷲掴みにする。
「ねえ、ちーちゃんってもしかして、山代⁉︎」
「ビンゴ〜。でも、今日ここに彼が来ることは....。」
色素の薄い肌。琥珀色の瞳、灰色に程近い髪の毛は、男にしては少々長く、片耳に掛けた毛束。
その男は、自身に絡まる女の顔を向くと、人差し指を唇へと押し当てた。
「分かってるよ〜。わたし口堅いし!」
「うんうん。僕も子猫ちゃんを信じてるよ?」
そんなやり取りを眺めるもう一方の男は、興味無さそうにソファーに背中を預けると、天井を向きながら煙草を吹かし始めた。
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