04.

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 一方その頃、瑞穂は....。  高級外車の中で、放心状態であった。    前方を向けば、品の良いスーツを着用した中年層の男が運転を任されている。  前回その責務を任されていたのは、あのホテルの支配人さん。此度は、見知らぬ男性だ。   「大河(ぼっ)ちゃん、お店の前に着ければ宜しいでしょうか?」 「嗚呼、頼む。」  前回の一人称は、社長。今回は、坊ちゃん。支配人に対しては、容赦無い対応だったが、この運転手さんに関しては、どうやら信頼関係を築いているのだろうか....とても、物腰は柔らかで、その態度の変貌振りに、思わず右隣の“坊ちゃん”を二度見していた。 「あ”?」 「あ、いや....その....。」 「なんだよ。言いたい事あんならハッキリ言えよ。」  運転手と支配人の二人を基準にすれば、私はどちらかと言えば、支配人寄りの対応をされているのだろう。  高圧的な態度に、眩暈がして細々と「なんでもございません....。」とハッキリしない言葉を放つ。  すると、機嫌が悪いのだろうか、渡里は私に聴こえる様に舌打ちを落した。  窓の外は、スモークが貼られている所為で、薄暗く感じさせるが、茜色の夕日が、ビル群の隙間から漏れ出ていた。  車体の揺れは無く、快適とも言える環境だが、精神的ストレスは我慢の限界に達しようとしている。   「御疲れ様で御座います。お足下お気を付け下さい。」  気が付けば、某高級お洒落タウンの一角に到着していた。  扉を開けた運転手さんは、七福神に紛れ込んでいても違和感が無い笑みを浮かべた優しそうな方で、ちょっとだけ安心していると....。 「さっさと降りろ、ブス。」  何故か、横に滑りながら背後に体当たりをしてきた渡里によって、私は勢い良く車外に押し出された。  気が付けば、地面のアスファルトに両膝を強打していて、間一髪で両手で体を支えた私は、無様にも四つん這い。  直ぐ目の前には、運転手さん。端から見れば、私が土下座している様な絵図に見えているに違いない。 「何すんのよ!!」 「ホント、鈍臭いよな。」  私の体の上を通過する様に、渡里の無駄に長い脚が手元すれすれで降りてきた。  この野郎....。と後から降りた癖に、先に地に降り着いた渡里は、両手を高く挙げると、身体を伸ばし始めた。
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