04.

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 ギャルソン姿の男の店員が、私たちの座る席の横で、膝を着いて伝票を記入しているが、何やら視線を感じ、恐る恐ると店員へと目を向けてみれば、 ....ニタリ。と八重歯を魅せながら、満面の笑みを浮かべている。それが妙に気持ちが悪くて、直ぐに逸らしてしまった。 「―――(ごう)聞いてんのか?」 「勿論、聞いてますとも!」  矢鱈と距離感が近い二人。上か下かは定かではないが、“豪”と呼ばれた男の子は、渡里に適当に返事をするが、その視線の先は私を捉えていた。  見た目は、可愛らしい年下ワンコ系の男子。私よりも歳下とみられる。 「ねえ、お姉さん。シャンパン飲まない?」 「え、わたし⁉︎」 「そうそう。お姉さんに聞いてんの。」 「いや....私は....。」  気の所為だとは思いたいが、気の所為とは言えない。初めこそは、渡里と対話をしていた筈だったが、徐々に詰め寄って来てる。気配では無く、本当に距離を詰めて来てるのだ。  チャラそうな話し方に圧倒され始め、私は直ぐに隣に助け舟を求めた。 「あ"?」  ただ、渡里の手首を掴んだだけなのに....。このフロアの中で唯一の知人ですよね....。 「なんでもございません‼︎」  あまりの怖さに、思わず即答すれば、「なんだよ。何かあんだろ?」と、一応は話を聞いてくれるらしい。 「だって、顔が怖いんですもん。」 「ーーーは?」 「大河くんってば、もっと女の子に優しくしなきゃ〜。」 「てめぇは黙ってろ。」 「そんな事してたら、お姉さんに嫌われちゃいますよ?」  店員もとい、豪君の御最もな発言に、どうやら鬼将軍も心を入れ替え....る? 「で、どうしたんだよ。――――瑞穂。」  急に首を傾げながら、渡里の顔が接近してきた。無駄に甘くなった低音ボイスが、吐息と共に私の口元を撫でた。
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