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これは何かの見間違いだろうか....。
モニターに映る人物は、果たして男なのか女なのか。
ファンデーションを塗りたくった異常に白い肌と、まるで舞台女優の様などぎついアイシャドウ。
頬の上には、濃い桃色のチークをまん丸と乗せて、真っ赤なリップは艶かしい。
男?いやいや、もしかしたら女かも。だが、しかし....
「おいこら、居留守してんじゃねーぞ。」
再び鳴らされた途端、聴こえてきたのは怒号。それは正に男の声だった。
どアップに映ったチクチクと生えた顎髭が、その人物が男なのだと確信へと変わる。
世間一般的に言えば…いや、誰もがこの人をオカマと呼ぶのだろう。
流石に怖くなって、震えながら受話器を手にする。
「....は、はいっ。」
「なんだ〜。やっぱり居るんじゃ無いの〜。」
先程の低い声は何処へやら、一気に甲高い声へと豹変したオカマさん。
「ちょっとー。晃ちゃんから聞いてない?さっさと開けてちょうだいな。時間が無いわよ⁉︎」
すっかり、うっかり忘れてた。今日はパーティーの日だった事を....
オカマが来る前に開封したチョコパイの包みに、ウキウキワクワクして、その事は頭の片隅に追い払われていた。
だけどまさか、こんなオカマが来るなんて、想像が付くか?
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