悩める第一王子殿下は、一刻もはやく弟に太子を譲りたい

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 有言実行な元・第一王子殿下とその親友の活躍で、前線は瞬く間に立て直され、じりじりと隣国の勢いを削いでいった。  それは、こちらの将ばかりを狙い討ちにされていた呪殺の効力を弱められたことが大きい。  やがて、満を持して正しい性別を公表することになった『彼女』の卒業パーティーに颯爽と現れ、入場いちばんに騎士服のままで膝をついて求婚してのけたことなど。  のちの世に伝えられる『ノエル王子』の逸話は華やかで、いつも彩りに事欠かない。  女王として即位したユーリは男装王女だったことも含め、ロアーヌの民からは常ににこにこと語り継がれる、愛されるべき名君となった。  ただ一つ、幼子に「ねえどうして? どうして兄王子は“ついほう”されちゃったの? どうして弟王子はお姫様になっちゃったの?」――――などという純粋無垢な質問に関しては、親はかなりの苦心をしてロアーヌ王家とカリディア大公家、双方の系図を正確に教える羽目になったという……  そのひと手間もまた、幸せに満ちて。  fin.
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加