[1-3] 真実の在り処

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 そして、おもむろにそれを口へと運ぶと、洋机の対面に座した結衣さんが両手で頬杖をついて、じっと私の顔を眺めていることに気が付いた。 「あの……、なんでしょう」 「悠くん、コーヒー好き?」 「え? そうですね」 「そう」  結衣さんは少し目を伏せて、私が卓上に戻したカップを(いち)(べつ)したあと、それからまたすぐに元の笑顔に戻った。 「ねぇ、悠くん。今日ちょっと外に出てみない?」  午後になって、私は結衣さんに連れられて家を出た。  結衣さんは、洗って縮んだような半端な長さのテント地の青いズボンと、袖をちぎったような肩が出た白いブラウスという出立ち。左肩から右腰にかけて、斜めに小さめの茶色の鞄を掛けている。 「悠くん、バス、分かる? そのシートに座るの」 「は、はい」  坂を下り切ったところにあるアスファルト敷の広場で、結衣さんとバスに乗った。  どうやらあそこは、バスの転回場を兼ねた停留所だったようだ。  姿を現したバスは、なんとも不格好。
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