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なんとも信じられない光景。
そして、その軌道下をさらに進むと、バスの終点というその場所が、言葉を失うほどに私の度肝を抜いた。
空中列車の終端。
高い橋桁の上を延々と渡っていたその軌道が、巨大な建物に突き刺さっている。空中列車は整然と進み、最後はその巨大な建物に飲み込まれて姿を消した。
なんたる威容。
巨大建築の壁面に、これまた巨大な穴がぽっかりと開いている。あの柱のない高い天井は、どうやって支えられているのだろうか。
「悠くん、先に降りて。運賃は一緒に払うから」
「え? はい」
結衣さんに促されて座席を立ち、その巨大建築の真下にある停留所で私はバスを降りた。
さて、どのように運賃を支払うのかと振り返って観察するも、結衣さんはなぜか、「ふたり分お願いします」と運転士に告げて、財布を運賃箱の天板にトンと押し付けただけだった。
全く理解ができない。
バス停の頭上は空中広場ともいうべき、広い広い高床の歩道。
階段で上がると、そこはまるで空母の飛行甲板のよう。その飛行甲板は、ずっと先のほうで巨大建築へと繋がっており、その先はさっきの柱のない空間へと上る幅広の階段が続いていた。
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