偽兄妹

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偽兄妹

 兄妹は偽物の兄妹であった。兄はその事をよく理解しているが、妹をとても可愛がっていた。四六時中、妹の後をついて回って、まだ幼く、危なっかしい妹を優しく、時には厳しく妹を(しか)ったりもした。  そして、妹はとはとゆうと、わからない環境や空気感の中で、無邪気で怖いもの知らずな、まだまだ子供の(よそお)いであった。幼いが(ゆえ)の事ではあるが、そんな妹はいつも兄を心配させているのだった。  だが、そんな妹も、これまでの経験で今のこの幸せな時間が、いつまでも続かないのでわないかとゆう疑念を抱えているのであった。そんな妹がこの夜、少し不安そうに兄に聞いた。 「ねぇ。私達は本当の兄妹なのか?」 「そうだよ」 「本当に?」 「もちろん」 「ふーん…」 「どうしてだ?」 「いや、だって…顔とか全然似てないし…」 「ハハハッ、そんな事か」 「?」 「そんな事は気にしなくたっていいよ。それにまた昔みたいな生活になってしまうかもしれないと心配なんだろ?」 「うん…」 「ここにいる限り心配無いさ。それにもし、ここを追い出されたりしたって、兄ちゃんがお前を一生、守ってやるから安心しろ」 「うん!」 「さぁ、今日も遊び疲れたろ?ちゃんと寝ないと明日もあそれないぞ」  そう言うと、兄は妹の顔をペロペロと舐めてやった。すると妹はすぐに目をつむって眠り始めた。その安心しきった顔はここで保護されるまでは考えられない事であった。  そんな二匹の様子を(うかが)いに彼女がやって来た。 「フフフッ。もうすっかり(うち)に慣れてくれたかな?良かった良かった。それなら、早いところ君の名前も決めなきゃだね」  彼女はスヤスヤと眠る仔犬を()でようと手を伸ばした。 “フシャー!” 「あらあら。もう、すっかりお兄ちゃんなのね。 良かったね、クロちゃん。本当の妹が出来たみたいね」終
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