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愛すべき愚妹よ
「……バカだよ本当に、あんたは」
「ね。自分でもやっちまったなーって思ったわ」
ごめんね。愚かな姉で。
紫になった元姉は頭を下げた。
妹の紫の正体は自分の姉だった。
引きこもりで引っ込み思案でいつも自分の殻に籠ってるしょうもない妹は、自分のために人生すら取り替えてくれていた。
紫は藍に外の世界を教えてくれた。
それは紫が紫として得た幸せではなかったけれど。
藍が藍として幸せを得ることもなかったけれど。
紫の思いやりに気づかず、姉として生かされた藍はずっと紫を引きこもりのぐうたら者と思ってきた。
「愚妹は私だったんだ。ごめんね、お姉ちゃん。今までありがとう」
「ポテチ片手にゲーム三昧も悪くなかったよ。それに、私の過ちは消えない。愚妹としてのポジションは私が貰うよ」
「それなら大丈夫」
愚妹続行宣言する元姉に言う。
「私は紫に戻らせてもらうから」
「ええ!?」
「明日からお姉ちゃんは藍として復活します。愚妹生活は終了させるよ。久しぶりの登校頑張ってね」
「でも紫、あんた大丈夫なの? クラスに馴染めるの?」
「わかんないよ。もう最悪。でも、いいリハビリにはなったんじゃない? 本当、よくも面倒くさいことしてくれたわね」
「本当だよ。あーあ! 入れ替わりなんてするもんじゃないねぇ」
二人して笑うしかなかった。
最悪ー! とお互い言いつつも、新しく始まる毎日に晴れやかな気持ちしかなかった。
今日くらいはポテチを一緒に食べてやろうと思う。
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