雨の記憶

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看護師をしている奥さんとの間に 子供はおらず、夜勤があることもあり、 黒崎はけっこう自由がきいた。 だから、最初の頃はずいぶん頻繁に 会っていた。 彼は色々なお店を知っていて、 美味しいお店や変わったお店など、 随分とあちこち連れて行ってくれた。 食事だけで帰る日もあったのに、 やがて会うたびホテルに行くようになり、 シティホテルからラブホテルになり、 最近では、もっぱら 私のアパートで会っている。 帰り道のドライブスルーで夕飯を買い、 うちで食べ、私にキスをして、 あとはお決まりのコース。 それはそれはコスパも良いことでしょうよ。 と、心の中で毒づく。 私は、少しずつ気持ちが冷えていった。 だけど、人の事は言えない。 私も、彼の体を求めていた。 心のどこかで、お互い様だと、この関係を 正当化したかったのかもしれない。
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