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前置き
この作品は
・忠誠努力して要求せず https://estar.jp/novels/25769465
・レンタル・パパ https://estar.jp/novels/25984509
の続編としても楽しんでいただけます。
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これは忠犬チビとその飼い主の井原家の物語である。
チビのご主人様だったと言うか・・つまり井原家のご主人だった井原辰則は、海外赴任中の仕事先で不幸にも日本に家族を残し亡くなってしまった。これは前々回のお話である。
井原家、忠犬チビの朝のお散歩は、その殆どでご主人の辰則が付き添いをしていた。
だが辰則の海外赴任初日からはチビの散歩同伴者はママの京子が代行することになった。よくある話である。
チビの中では『どえらく長い出張じゃねえかヨ、辰則の奴、まさか赴任先で彼女でも出来たんじゃねえだろうな⁉』・・
と、なんとも下品な想像をしていた。
だが事実はもっと残酷なものだった。
赴任先の海外で辰則は感染症に侵され亡くなってしまったのである。
チビが辰則の死を知ったのは、チビが動物病院に預けられるその日のことだった。
ユミとママが出かける直前に『黒い色をした綺麗なガラス玉』をママがバックに入れるのを見てしまった。
思えば2年前、井原家の爺さんが亡くなった時にも同じ光景を見たことを、今まさに思い出したのである。
勘の良いチビは『あの黒い綺麗なガラス玉』を必要とする時こそ、井原家に不幸が訪れる証だと学習したのである。
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