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チビの早とちり(2)
「パパ・・どう? あのチビちゃん家のママさんの件なんだけどさ・・」
「最近、お父さんを亡くしたって話してた、チビちゃんのママのことだよね?」
「そうだよ、パパも何度か見たこと有ると思うよ? そら、僕と一緒に散歩に行ったときになんかさ。」
「あのママさんってユミちゃんって女の子のお母さんなんだけど、そのユミちゃんってさ、僕と同じクラスなんだよ。これってただの偶然じゃないよね?」
「徹、それこそ偶然だよ、同じ犬種の柴犬を同じ公園で散歩してたって、しかもユミちゃんとお前が同じクラスだなんて、それが偶然なんだよ。」
「でも、ユミちゃんのママさんがお父さんを亡くし、僕のパパもお母さんが居ないなんて・・どうしてもただの偶然だなんて思えないんだよね。」
「小学生の分際で大人びたこと言うんじゃないよ!
言っとくがね、うちのママはお前とパパを捨てて出て行っちゃたんだよ!
それもたった一枚の紙きれだけを残してだよ・・これも偶然って言うのかね!」
愛犬花子:(ご主人さん、徹ちゃんまだ小学生なのに、八つ当たりなんかしちゃ駄目!)ウ~ワン!
「パパ、そんなことよく云えるよね、今しがた大人びたこと言うな!って
説教したその子に向かってさ、そんなにムキにならなくたっていいだろ。」
(徹ちゃんも、パパさんに向かってそんな口答えするなんて不味いよ・・パパさんもママに逃げられて傷ついてんだからさ)ウ~ワンワン!
「花子、さっきから煩いよ!お前には関係ない話なんだ、少し黙ってな。」
(でも、チビちゃんなんか、この度の徹ちゃんの計画には期待してたよ・・この様子じゃチビちゃんがっかりするかも? ほんと人間って難しい生き物なんだね。)ウ~ワン!
「・・ゴメン! パパちょっと言い過ぎたかも。 徹、そのママさんのことだけどさ、もう暫くそっとして置いてあげてはと、パパはそう思う・・だからこの話はもう止めよ。」
「・・うん。」
徹の言いたいことを勇人にはしっかりと伝えることが出来たようだ。
でも、花子はチビに期待を持たせるような発言していましたよね、さっ、どうする花子さんや。
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