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チビと花子の駆け落ち(1)
(私とチビちゃんが駆け落ちするのよ。)
(駆け落ちって? どういうこと)
(桃栗家、つまりうちのご主人とママって駆け落ちまでして結婚したって聞いたことがあるのよ。)
・・・・
「私、もう辛抱できない! 仕事本位で家庭を蔑ろにするあなたになんか、もう付いて行けません! 離婚してもらいます。」
いきなり妻に離婚届を突き付けられた桃栗家のご主人勇人は啞然とした。
「親の許しに背いてまでも惚れ合った中なのに、世間になんか祝福されなくてもいいって、二人誓い合って一緒になったと言うのに・・もう俺の事なんかどうでもいいんだな! あの時の、あの駆け落ちって何だったんだ!」
「それは、こっちのセリフじゃない、家のことは全て私任せだし、日曜日だって付き合いだと言ってはゴルフに出かけ、家に居る時でもテレビの番するぐらいじゃない。
花子の散歩だって嫌々じゃん。私と徹のことなんて少しは考えたこと有るの!」
(ママさんの、そんな気の強いところが駆け落ちを実行させたんだよね。
でも皮肉にもそれが離婚にまで発展したみたいだよね。)
(花子さんって偉いんだね・・おいらの知らない難しい言葉、使ってんだもん。)
そりゃ花子さんの方が一つ年上だもの、人生経験って正直だよね⁉ もしかして花子さんも離婚の経験があったりなんかして?
「それでね、うちのパパ曰く井原のママさんのこと『もう暫くそっとして置いてあげた方が良いんじゃないか』って言ってんだよね。
「つまりレンタル・パパは中止ってことね。
ありがとう桃栗君、心配かけてごめんね、やっぱこんなこと、教室では話せないものね。」
「いいよ、僕なら別に構わないよ。ママとパパが離婚してからって、クラスメイトからも、あまり良い話なんて聞こえて来ないしさ。」
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