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どうなった?レンタル・パパ
チビや花子が居なくなってから三日が過ぎ、いよいよ日曜日が来てしまった。
チビのママさんも今日だけは、家に閉じこもっては居られない様子だ。
チビを探したい一心でようやく京子は重い腰を上げた。行き先はユミに付き添われるようにして、まずはいつも散歩していた大林公園である。
また、花子を探すべく桃栗家も同様、パパさんと徹君がまずは大林公園に向かっていた。
「ユミちゃん、この公園は毎日探してくれてたんだよね。」
ユミと徹は幸い同じクラスだったため、休み時間に申し合わせた上、下校途中に二人で捜索を続けていた。
「徹、この公園には毎日のように探しに来てくれたんだよな。」
「そうだよ、花子もそうだが、ユミちゃん家のチビも一緒に居なくなるなんて、なんかおかしいよね。パパ、これって偶然?」
徹のパパ勇人はこの前の徹との会話の際も偶然という言葉に拘った。つまり仕事本位の勇人の考えでは、結果の全てはその人の責任であり、後から例える偶然は許せても、『偶然とは思えない』といった誰かの企みが見え隠れする文言を嫌うのである。
「あっ、井原さん家のユミちゃんだ。」
「桃栗君、やっぱ来てたのね⁉」
二人は前日にもチビと花子の捜索をしていた。
だから当然のように今日の日曜日の捜索は大林公園から始めることも織り込み済である。つまり勇人の嫌う企みが垣間見れる。
「ユミちゃんのママさん、お久しぶりです、お体大丈夫ですか? ママさんは無理しなくても、チビちゃんの捜索なら僕たちに任せてください。」
「あぁ、花子ちゃんのお兄ちゃんね。 いつも優しい言葉掛けてくれてありがとうね。 そうだ、あなたってうちのユミと同級生なんですって、ユミから訊いて驚いたわよ。
花子ちゃんも帰ってこないんですって? 大変よね」
徹はすかさずユミちゃんのママに声を掛けた。
「ママさんって、チビちゃんとお散歩中に、花子を連れたうちのパパと顔を合したことがありますよね・・でもお話なんて初めてだと思うんですが・・紹介します。うちのパパで栗原勇人って云います。38歳です。」
小学生の我が子に紹介された勇人パパは照れ臭そうにそれから先の徹の言葉をを制した。
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