忠犬チビ

偶然にしちゃ出来過ぎ

「徹、余計なことまで言うんじゃないよ。
・・初めましてチビちゃんのママさんですよね？　この度は大変でしたね、徹からいろいろ訊いてます。」

「こちらこそ、この度はチビのことで大変ご迷惑をおかけしまして。申し訳ございません。」

　ユミちゃんのママ京子はその名にふさわしく優しい言葉遣いに加え色白の京美人である。
徹にはあれだけ会うのを拒絶していたのに、いやまるで初恋の人に出会ったような心はドキドキではないか。

「えっ、えぇまあ、うちの花子ってチビちゃんと仲良くしてもらってたんですよね。こちらこそお騒がせします。」

　この大人二人の会話を一部始終を傍で見つめていた少女の顔が、どうしたものか綻び下限である。やれやれチビと花子の心配は何処へやら。

「井原さん、どうしたの？　さっきからニヤニヤしちゃってさ。」

「桃栗君、これって偶然？　それとも誰かが仕掛けたのかしら？　偶然にしちゃ出来過ぎだと思わない？」

「えっ、どういうこと？」

「チビと花子って、なかなかやると思わない！」

「・・あっそうなんだ！　なるほど！　そういうことか⁉」