エピローグ

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エピローグ

 山頂は人が2、3人立てばもういっぱいという程度の、まさに猫の額であった。  頂は疑問の余地なく、世界でもっとも高い場所であった。空は深い蒼色に澄み渡り、あれだけ荒れ狂っていた暴風はぴたりと止んでいる。  彼はまだ信じられぬ気持ちのまま、あるものを見つけた。隅のほうにぼろぼろに風化した銘板が刺さっている。〈崑崙山山頂 標高3万尺〉とかろうじて読めた。  それだけだった。  それだけだったのだが、不意に啓一郎は自分の存在意義を悟った。心臓の動いていない村人たちのあいだに生まれた、鬼の子としての存在意義を。 「俺は――」確信を込めて、絶叫した、「俺は、先導者やッ!」
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