こころの哲学

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 ——言葉は気体です。  種類によっては、充満したときその空間にいい効果をもたらします。  ……だから、ね、そんなに嬉しいならどうかその理由をみんなに教えてあげて。    言葉が液体になったものを、多分涙と呼びます。  言葉を呑み込み過ぎると、人間の体内で液体となり、やがて目から溢れ出すのです。  だから、たくさん泣くと少し楽になるでしょう。  感動したときに涙が出るのは、言い表せないくらいの言葉たちが一気に蓄積され、溢れ出すからです。  もしいつか、あなたがそんな涙を目から零してくれたのなら、私にとってそれ以上のことはありません。    液体のまま外に出なかった言葉は固体になり、忘れるという手段を用いない限り残り続けて、あなたの心を時に惑わすでしょう。時折、それにトゲがついて固まって、精神を蝕むこともある。  秘密というのは魅力的なものですが、口の硬い人というのは、言葉を忘れたり思い出したりする操作がすごく上手なのです。……あなたは不器用ですから、あまり隠し事を作らない方がよろしいでしょうね——
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