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 この世界では、戦ばかりが起こっている。  誰かが誰かを傷つけなければ気が済まない、そんな世界だった。  敵を許すなんて、選択肢は存在しなかった。  はじまりの諍いが何だったのか、もはや誰も覚えていないほど諍いは繰り返された。  争いの火は消す事が不可能なほどに、広がっていってしまったのだ。  私のいた国は、私が生まれる前から戦を続けていて、私が死んだ後も戦を続けていくのだろう。  生まれた時から、自分の国以外の人間は敵だと教えられてきた。  自分の国の人間でも、敵に寝返れば敵なのだと教えられてきた。  だから私は、自分の国以外で人を見つけたら、当然の様に敵だと思うようになっていった。  それがその世界では正しかったから。
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