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「梨花? 何かあった?」
晴也に聞かれて、はっとした。
「――え? 何で?」
「元気ないから」
「そう? そんなことないよ」
そう言うしかなかった。
失恋……? そんなことを言える訳がない。
「いつも見てるからわかるよ。仕事で何かあった?」
「あ……うん。ちょっとミスしちゃってね」
わざと困ったような表情を見せ、梨花は誤魔化した。
「そうか。まぁミスなんて誰にでもあることだし、あんま気にすんなよ」
晴也がそんなことを言うのは珍しかった。余程暗い表情をしていたのだろうか。
憂鬱な気持ちを抱えたまま、梨花は夕食作りにとりかかった。
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