勘違いの恋 思い込みの愛

6/14
前へ
/14ページ
次へ
「ただいま」 梨花が帰宅すると、晴也がソファーで横になっていた。 「あれ? どうしたの?」 梨花が聞くと、「何かしんどい……」と晴也が言った。 そう言われてみると、顔が赤いような気がして、梨花が晴也の頬に触れる。 「あー! 熱あるじゃん」 2、3日前から、風邪の症状があったのは知っていた。 「朝は食べた?」 「食べてない」 「何か食べれそう?」 「お粥が食べたい。卵がはいったやつ」 こんな晴也の様子を見るのは久しぶりだ、と梨花は思った。食べたい物のリクエストも珍しかった。 だが元々はこういう人だった。いつの頃からか、あまり感情を表に出さないようになった。 「今から作るから、ちょっと待っててね」 「うん」 やけに素直で可愛いと思った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加