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「何を言っているんだ、亮介!」  朝のニュース画面から振り返った修一は、小学2年の息子に珍しく声を荒げた。  百合への気遣いと息子の異常な発言への動揺が、普段は温和な修一に色を失わせている。 「本当だもん、嘘じゃないよ」 「なにをバカなこと……!」  いつにない父の激昂にすでに半泣きになりながら、それでも亮介は頑固に言い張った。 「嘘じゃないもん」  怒った顔で亮介は繰り返した。 「寝ぼけたんじゃないのか? 昨日遅くまでゲームしてたんだろう」 「ちがうよ」  亮介は譲らない。  修一はため息をついてコーヒーを啜った。  自分を落ち着かせるために。
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