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放課後。静まり返った教室。
電気が消されたその場所は、夕焼けに照らされ、ややオレンジ色に染まっていた。
そうした中、女生徒二人が淫靡な音を奏でている。
「ん、ん·····っ、ふっ、んぅ·····」
風に吹かれたカーテンの中、胸辺りまである綺麗な髪の子に気圧されるような形で、活発そうに見える子が、重なった口の間から乱れた息を吐いて、互いの組んだ手を震わせていた。
嫌い、嫌い、大嫌い。
どうして、こんなことを実の姉としたいといけないんだろう。
まるで姉に意識を乗っ取られそうに、何も考えられなくなりかけている思考の中、何度も思ったことが浮かぶ。
くちゅり、と卑猥な音を立てた姉から口が離れていった。
それと共に、一本一本指を離していく。
やっと解放され、乱れた息を整えようとしながらも、キッと姉のことを見つめていた。
姉は高揚とした面持ちで、二人との間に引かれた蜜の糸を、舌で丁寧に舐め取った。
その様子が、とても、艶かしい。
抱いてはならない気持ちになってしまい、ふいと顔を逸らす。
「あら、どうしたの、璃亜ちゃん。顔がさっきよりも真っ赤よ。私のことがそんなにも、好き?」
まとわりつくような甘い声に、蠱惑的な笑みを浮かべる姉を振り払うように、「違うっ!」と強く否定した。
「あんたなんかのことが、好きなわけがないじゃない! 勘違いしないで!」
「璃奈、って呼んで。璃亜ちゃん?」
「嫌よっ!」
バッと、カーテンを乱暴に払い、机に置いていたカバンを雑に引っ掴むと、早歩きで教室に出て行こうとするのを、「待って〜」と猫撫で声で追いかけてくる姉のことを一切見ず、ずがずがと出て行った。
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