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姉の璃奈とは、双子である。
一卵性である自分達は、言葉を介さずとも、お互いに何を思っているのか分かりきっていた。
だから、例に漏れず、互いに何が「好き」なのかも充分に分かりきっていた。
けれども、璃亜がある日「好きな人が出来た」と言った時、璃奈も口を揃えてそう言ってきたことがあった。
前述言った通り、口で言わずとも、互いのことが分かっていたものだから、璃亜はぽかんとしてしまった。
璃奈からは、そのようなことを微塵も思わなかったから。
『え、でも、璃奈ちゃん、本当に·····?』
『璃亜ちゃん、なんで疑っているの? お互いに何を思っているのか、分かるじゃないの』
『そうだけど·····』
意味の無い、心の内に秘めていたことを、ようやく口に出来て、ホッとしようとしていたのが、困惑へと変わった璃亜の手を不意に取る。
小さく声を上げた、間もなく。
璃亜の手よりもやや細い手に、まるで恋人繋ぎをしてくる璃奈と、唇が重なった。
目を見開く。
状況が全く理解出来てない璃亜から、すぐに離れた璃奈が潤いのある唇を緩めた。
『璃亜ちゃん。お互いの好きが被ったら、キスをしよっか?』
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