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女の声は夜になると聞こえた。
不思議なことにその声が聞こえるようになってから、僕の体にはミミズが這ったような発疹ができるようになった。
初めは肩に目立たないながらも自己主張するかのように赤い発疹がポツンとできただけだった。それが徐々に広がり始め、いつのまにか上半身は真っ赤になっていた。同時に隣の声も激しく聞こえてくるようになったような気がした。
まさか隣の部屋に越してきた女が変な菌でも撒き散らしているのではなかろうか。
洗濯物をベランダに干すとき、僕は周囲に目を走らせ、ぐいと隣の部屋を窓越しに覗き込んだ。まったく気配を感じさせない。それでも疑いたくなった。
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