7・わたしのブルーバード

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 わたしが感嘆の声を上げると、裕生は呆れた顔を向けた。 「沙希、おまえ、ほんとお人好しだな。好きな男を奪った女だろ。そいつ」  好きな、というとき、ちょっと顔をしかめた。  そんな反応が今はちょっと嬉しい。 「もう、『好きな男』じゃないよ。ふたりが並んでいるところを見ても、なんとも思わなかった。お似合いだなって思ったぐらい」 「へぇ……」 相変わらず、そっけないけれど、でも、ちょっと嬉しそうな顔をした。 「だって、わたしには他に、ちゃんといるから……」  今だ。今しかない。  そう思ったわたしはラッピングした包みをカバンから出して、裕生に差しだした。 「はい」  昨日の晩、はじめて作った生トリュフ。   「今はおふたりに感謝してるぐらい。わたしが本当に好きな人が誰か、気づかせてくれたから」  裕生は「そっか、今日、バレンタインだっけ」と言った。 「うん」
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