1・沙希24歳、冬

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 裕生は眼鏡ごしに横目でわたしを見た。  ちょっとあきれたような表情で。 「そんなに好きだったんなら、襲いかかるなり、なんなりして、早いとこモノにしときゃ良かったのに」  ……襲いかかるって 「無理だって」  わたしは生ビールのジョッキを煽った。  アルコールが喉から胃に到達したとたん、かっと身体が火照る。 「だって、スグ先輩の理想とはまったくかけ離れているからさ、わたしは。彼の好みはスレンダーな美女。わたしみたいなチビはお呼びじゃないから……」 「チビじゃねえだろ、別に」   「そう言ってくれるのは裕生だけだよ。でも、152cmしかないもん。それなのに体重は52キロもあるんだよ」    ほら、この二の腕触ってみてよ、とわたしは右腕を裕生のほうに差しだした。  裕生はしかめ面に戻って、わたしの腕を邪険に振り払った。
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