1 梅雨にも空はまばたく

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1 梅雨にも空はまばたく

 梅雨の空を感じながら私は歩く。  空は人生のように灰色に曇っている。  ついさっきまでは、空はプールのようだった。  知っていた。雨がふることも。荒れることも。  それでも私は外出したかった。濡れたいのかもしれない。  いきなり大きな音をたてて雨が降ってくる。  私は動じない。  ただ機械的に足を前に出すだけだ。  周りの人は傘を差しはじめる。  私は傘を持っていない。  わざと持ってきていない。  雨は私をたたきつけるように打つ。  流れるように髪から水が落ちる。  雨音が「元気だせよ」とでもいいたげに  私の肩をたたく。    
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