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夕飯は広い食堂で食べることになり、美味しい海の幸を堪能して、スマホで沢山写真を撮りながら楽しく過ごした。
「ふう。さすがにお腹いっぱい」
「凄く美味しかったね。それに海も楽しかった」
部屋に戻るとそれぞれベッドに寝転んで、思いっきり伸びをしながら、大きなあくびをする。
「明日もまた海で遊んでから夕方ゆっくり帰ろうね」
「水着ちゃんと乾くかな」
「大丈夫だよ。少しくらい濡れてても着て泳げばまたすぐ海で濡れるんだし」
手で洗って物干し台に掛けた水着を見ながら、煌耶は大きあくびをすると、クタクタでお風呂に入るのが面倒臭くなったと愚痴をこぼす。
「シャワー浴びるの明日にしようかな」
「でも髪の毛とかベタベタするし気持ち悪くない?」
「舞琴は髪とか傷むといけないから、先に入るならシャワー浴びておいでよ」
煌耶にそう言われて、舞琴は遊び疲れで重たくなった体を起こすと、荷物から着替えを取り出して風呂場に向かった。
日焼け止めをちゃんと塗っておいたおかげか、体を洗っても特段痛いところはなく、明日も心配せずに海を楽しめそうだと舞琴は人知れず笑顔になる。
けれど背中を洗い始めると、不意にそこに触れた煌耶の大きな掌の感触を思い出して、またドキドキして顔が真っ赤になった。
今日は泊まりなので、もしかしたらと可愛らしい下着を煌耶に内緒で用意してみたが、日焼け止めを塗って貰うだけでもあれほど緊張したのだ。
頭の中でアレやコレが色々と膨らんで、恥ずかしさで自爆すると、シャワーでのぼせそうになった舞琴は早々に切り上げて風呂場を出た。
着替えを済ませて髪を乾かすと、ドキドキするのを隠しながら部屋に戻って、テレビを見て時間を潰していたらしい煌耶に声を掛ける。
「お風呂お先。やっぱりホテルのシャンプーは使い慣れなくて髪がキシキシする」
「ちょっと待って、髪下ろしてるのめちゃくちゃ可愛い」
「え?」
「どうしよう。舞琴めちゃくちゃ可愛い」
煌耶が明らかに変なテンションでそう呟くと、髪を結んでないことが急に恥ずかしくなって、舞琴は両手で顔を覆ってあんまり見ないでと呟くのが精一杯だった。
「そういう恥ずかしいのやめてよ」
「ごめん、あんまりにも可愛すぎてつい」
「そんなこと言うの煌耶くらいだよ」
恥ずかしさを通り越して苦笑すると、煌耶はベッドから立ち上がって舞琴の頭を撫でて、本当に可愛いからねと長い指で髪を梳くようにもう一度頭を撫でた。
「じゃあ俺もシャワー浴びてくるね」
「うん。きれいに洗うんだよ」
支度をして風呂場に向かう煌耶に声を掛けると、舞琴は意識しすぎて、変に妄想してドキドキしている自分が少し恥ずかしくなった。
煌耶がシャワーを浴びてる間、冷蔵庫で冷やしていたサイダーを飲みながら、つけっぱなしのテレビを眺めると、凄く楽しいよと母親に沢山撮った写真を添付してメールを送る。
楽しいのは良いけど羽目を外し過ぎないようにと、すぐに返事が来て、なにかを見透かされたようでまた恥ずかしくなって、舞琴はベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
「あれ、舞琴もう寝る?」
シャワーを終えた煌耶が、タオルドライで頭を拭きながら風呂場から出てくると、寝転がる舞琴に笑いながら声を掛けて来た。
「うん。遊び疲れたみたいで、もう結構眠たい。煌耶はまだ起きとくの?」
「いや、俺も結構遊び疲れた」
隣のベッドに腰掛けると、舞琴の飲み掛けのサイダーで良いからと風呂上がりの喉を潤して、煌耶は大きな欠伸をして、海って体力使うねと笑った。
そのまま部屋の明かりを落として、それぞれのベッドに寝転ぶと、話もそこそこに、どちらともなくすぐに寝息を立てて二人は寝落ちした。
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