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15
明け方に目が覚めてトイレに起きた煌耶は、その物音で起きた舞琴におはようと声を掛けると、少しだけ一緒に寝ないかと、同じベッドで横になるように舞琴を誘った。
窓の外はもうすっかり明るくて、そんな空気にはならないだろうと、緊張しながらも頷くと、舞琴はトイレを済ませてから煌耶のベッドに潜り込んだ。
緊張した様子で、少し震えているような煌耶の腕が伸びると、首の下にするりと腕が滑り込んで、あっという間に向かい合って眠る姿勢になる。
「これは……緊張するね」
「照れるね」
気まずさでうまく顔を合わせられないのに、逃げ場がないくらいお互いの顔の距離が近い。
真っ赤になったお互いの顔を見て、ほぼ同時に笑い声を上げると、少し緊張がほぐれて自然な流れでゆっくりと顔を寄せ合ってキスをする。
いつもと違って、少し長めのキスにドキドキしていると、煌耶の唇が舞琴の下唇を甘く噛んでゆっくりと離れていく。
「抱っこしとくだけだから、もっとキスして良い?」
「……うん。して」
囁くような煌耶の声に小さく頷いて返すと、唇が触れてすぐに、煌耶の湿った舌先が舞琴の唇を割るように、ゆっくりと口の中に入ってきた。
「んっ」
思わず息が漏れて身体がビクッと震える。
暖かくて弾力のある舌が、ゆっくりと探るように口の中で動くと、上顎をなぞるように舐められて、舞琴の身体は再びビクッと震える。
背中に回された煌耶の腕が、ゆっくりと撫でるように動くと、しっかりと抱きすくめられて、ぶつかり合った足がどちらからと言わず厭らしく絡まった。
鈍い水音が立つ唇の隙間で不器用に息をこぼして、煌耶がするように舌に少し力を入れて、口の中で探るように舌を伸ばせば、お互いの舌が絡み合って、酷く厭らしい水音が大きくなった。
うっすらと目を開けると、長いまつ毛が伏せられていて、煌耶に必死に求められている実感が込み上げて、舞琴の身体は一気に熱く切なくなった。
「んんっ」
「ふぅ、んっ」
慣れない長いキスを交わしていると、息をするのが辛くなって来て、荒い息がお互いから漏れる。
名残を惜しむように離した唇が、銀糸のような糸を引いて二人を繋いでいて、恥ずかしさでカッと顔が熱くなる。
瞳を潤ませて頬を真っ赤に染めた舞琴の目をじっと見つめながら、噛み付くようにもう一度キスをすると、下唇を食んで柔く吸いながら煌耶の唇がまた離れていく。
「舞琴……好きだよ」
「うん。煌耶大好き」
おでこをくっつけて、恥ずかしさを誤魔化すように二人で小さく笑うと、啄むようなキスを繰り返して静かに抱きしめ合う。
「自分じゃない心臓の音が聞こえる」
「そうだね。ドキドキしてる」
「なんか変だけど、落ち着くね」
「そうだね」
好きな人と抱きしめ合うだけで、こんなにも安心した気分になることを、舞琴は煌耶に出会って知った。
ゆっくりと煌耶の目を見つめると、舞琴を大事そうに見つめる煌耶と目が合う。
「見過ぎ」
「そっちこそ」
小さく笑って、またおでこを寄せ合って照れ隠しをすると、ずっとキスばかりしてしまいそうだからと、煌耶は舞琴に寝返りを打たせた。
背後からしっかりと舞琴を抱き寄せて、朝まで眠ろうと優しく髪を撫でる。煌耶の体温が舞琴の背中から伝わって、酷く安心した気持ちになる。
舞琴も煌耶もまだ学生だ。だから焦って身体を繋げる必要は感じなかった。
なんとなく、漠然とでも、舞琴には煌耶とこの先ずっと一緒なのだと、そんな確信めいた安心感があったからかも知れない。
あたたかい腕に抱かれながら、気が付くと寝息を立てて寝入ってしまった舞琴に、煌耶もまたいつまでもそばに居る確信を持って、その首元に静かに口付ける。
同じように静かに寝息を立てると、目覚ましのアラームが鳴り響くまでゆっくりと眠った。
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