ドキドキの理由は伝えられない

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 「好きです、付き合ってください!!」  放課後、校舎裏に呼び出したのはサッカー部でMFをしている木下 友樹。  彼は早朝の部活前、下駄箱に入れられていたラブレターを見てこの場所に来たのだったがーーーー。 「悪いけど、今はサッカーのことしか考えられないから無理。そもそも俺、あんたのこと知らねえし、ストーカーに付き合ってる暇はないよ」  じゃ、部活があるから。と言って木下は行ってしまった。  通算ーー35回目の告白をして破れたのは去年、同じクラスだった村松 花枝(むらまつ はなえ)。  特筆すべき長所は一つもない、成績や容姿は良くも悪くもない中の中の中の少女。花枝が木下に惚れたきっかけは、同じクラスの時にノートを忘れた花枝に木下がルーズリーフを一枚あげたこと。それ以来、花枝はたびたび木下に告白しているのだが、未だに色よい返事はなく寧ろ、眼中外宣告されてしまった。  潤む瞳を強く閉じ、涙を無理矢理引っ込めると空に向かって叫ぶ。 「こっちはお前のことが好きだって何回も言ってるだろーーーーっ!! あんぽんたんのスケコマシーーーーーーーっ!!」  彼女は一途なめんくいであった。    
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