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教室の扉がぴしゃりと閉まったかと思えば、間髪入れず顧問が捲し立てる。
「えぇ、どうも。顧問の谷本と言います。
本校卓球部は毎年、インターハイでは全国に行っています。
それが最低限、当たり前です。県大会で負けていたら話になりません。
そこんとこ押さえておいてもらわないと困りますんで」
いやに丁寧な口調の合間に、
クリップボードを教卓の角にぶつける乱暴な音が紛れ込む。
二・三年生の硬直した表情筋が部の雰囲気をありありと物語っていた。
「伝えることは以上。あとは部長に委ねます。
今日から早速練習に入ってもらうから、
推薦組と一般組に分けて指揮を執ってください。いい?」
「はい!」
指を差された部長が必要以上の声量で返事をする。
中学校で部活動に加入していなかった空井には、
この異様な空間が軍隊としか思えなかった。
白戸が中学校時代に全国大会で上位入賞を果たしての推薦入学である一方、
初心者の空井は学力試験を通過した一般入学。
早くも行動を別にすることとなってしまった。
練習メニューもまるっきり異なり、
白戸は初日から台について上級生に混じっての練習が始まったが、
空井には何の指導もなく、ただずっと球拾いに徹した。
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