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雨はすっかり上がり、石畳にできた水たまりにはうっすらと半月が写っていた。
「この雨が終わったらいよいよ祇園祭やで」
お兄ちゃんがお豆腐とお揚げさんの入った袋を持ってくれながらそう言った。
「ほしたらその後は都をどりや。―また歌練場も忙しなるやろなあ」
「うん。今年もまた老松さんでシャーベット買ってえな」
「沙羅はほんまに、食い意地だけは人一倍やな。それより、絹子さんに連絡したんか?うちのお母ちゃん話好きやから長ごなってしもたし、絹子さん心配してるんちゃうの?」
お兄ちゃんの言葉に、私は慌てて携帯を取り出した。
「あ、うん。電話してみる。―もしもし、お母さん?私、沙羅。あんな、今帰ってるんやけど…」
隣でそれを見ていたお兄ちゃんが笑う。
帰ったら、おばあちゃんの事を久しぶりに聞いてみようか。そんなことを思った。
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