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「お父さん、パフェなんて頼んで」
「いちごパフェが美味そうだったんだ」
母と父は何だかんだで楽しそうに一つのパフェをつついている。
「お前にはお子様ランチを頼んでやろう」
父がにやりと笑い、ウェイトレスを呼ぼうとする。
「いくつだと思ってるんだよ」
二人の動きは止まり、顔を見合わせている。
「三十歳だよ。二人してもうボケたのかよ」
「お腹を痛めて産んだ我が子の年くらいーーね、いいひといないの?」
急に真顔になって、うろたえる俺の顔をじっと見てため息をついた。
「こりゃいないわ」
「母さん、今はそんな時代じゃないんだよ」
母は父に、息子の事が心配じゃないのかと、ぶつぶつ言っている。
「11月21日の今日は『家族の日』なんだって。たまには良いよね、こうして会うのもさ」
「どうした。何か頼み事でもあるのか」
「別に何もないよ。ちょっと思っただけだよ」
最近、仲良くなった女性に家族の事を聞かれて、しばらく会ってなかったと気づいたからとは、恥ずかしくて言えなかった。
「お子様ランチです」
「えっ。本当に頼んだの?」
「ーー大変失礼致しました」
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