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ウェイトレスはテーブルを間違えたらしく、頭を下げて去って行った。
「ああ、びっくりした」
「受け取って食べれば良かったのに」
「父さん、そしたら頼んだ人が困るだろう」
「ねえ、コーヒーおかわり出来るみたい」
母が小声で俺に頼んでくれと遠回しに言っている。
「ボタン押すぞ」
父がぐいと呼びボタンを押す。
「コーヒーおかわり二つ。あと、お子様ランチか?」
「いらないよ。えーと、パンケーキでホイップ追加で」
ウェイトレスが去ると、父はお子様ランチと変わらんなと苦笑いしていた。
「本当は何で呼んだんだ?」
「えっ」
「金なら無いぞ」
「ち、違うよ。友達に親と旅行に行った話を聞いてさ。父さん達とずいぶん会ってなかったってーーそれだけだよ」
「ふうん。何、その友達って女の人?」
母がおかわりのコーヒーにミルクを入れてぐびりと飲んだ。
「そうだけど。にやにやするなよ」
「なるほどねー」
母は勝手に納得して、父に目配せした。
「なんだよ」
「別に。楽しくやってそうで、ほっとしただけよ」
「俺の心配はいいよ。父さん達こそ、身体には気をつけてよ」
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