補修工事

1/1
前へ
/7ページ
次へ

補修工事

アポポ、リポポ、ロトトは川の上流に作られたダムにやって来た。ダムの堤防は途中から水が吹き出している。放置しておけば、堤防は完全に崩れていきそうな勢いだ。 「リポポさま、これは酷い有り様ですね」 「確かに決壊しているわ。私が水を止めるから、アポポはダムの修復をお願い」 「承知しました、リポポさま」 リポポは呪文を唱える。唱えると言っても無詠唱なのだが…。すると、ダム周辺一帯、ダム湖も含めて全てが一瞬にして凍りついた。氷の世界の出来上がりである。そして、ダムの決壊は止まった。 「さあ、アポポ、今のうちによろしく」 「はい」 アポポはダムに手のひらを向けた。ピキピキピキ。しばらくすると、決壊した場所が石化して固まっていく。 「リポポさま、念のため、堤防全体を石化しておきました。強化も加えてありますので、今後壊れることはないでしょう」 何もすることがなかったロトトは尋ねる。 「ダム湖が凍ったままだけど、どうするんだ?」 「それは自然に解けるまで待ちましょう」 「本当に溶けるのか、この氷は?」 「たぶんね」 ロトトはふと思った。氷が溶けないと、もう水は貯められないのではないかと…。今のところ、堤防が決壊した分だけ水位は下がっているが…。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加