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補修工事
アポポ、リポポ、ロトトは川の上流に作られたダムにやって来た。ダムの堤防は途中から水が吹き出している。放置しておけば、堤防は完全に崩れていきそうな勢いだ。
「リポポさま、これは酷い有り様ですね」
「確かに決壊しているわ。私が水を止めるから、アポポはダムの修復をお願い」
「承知しました、リポポさま」
リポポは呪文を唱える。唱えると言っても無詠唱なのだが…。すると、ダム周辺一帯、ダム湖も含めて全てが一瞬にして凍りついた。氷の世界の出来上がりである。そして、ダムの決壊は止まった。
「さあ、アポポ、今のうちによろしく」
「はい」
アポポはダムに手のひらを向けた。ピキピキピキ。しばらくすると、決壊した場所が石化して固まっていく。
「リポポさま、念のため、堤防全体を石化しておきました。強化も加えてありますので、今後壊れることはないでしょう」
何もすることがなかったロトトは尋ねる。
「ダム湖が凍ったままだけど、どうするんだ?」
「それは自然に解けるまで待ちましょう」
「本当に溶けるのか、この氷は?」
「たぶんね」
ロトトはふと思った。氷が溶けないと、もう水は貯められないのではないかと…。今のところ、堤防が決壊した分だけ水位は下がっているが…。
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