魔法学校対抗戦・第二試合

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魔法学校対抗戦第一試合はスター争奪戦だった。 各校10個ずつ与えられたスターを選手が所持するもしくはステージ上に隠し、他校のスターを奪い合う。 第一試合はステージ制作から生徒たちに自由に行わせ、魔法による戦闘力を競うだけでなく、技術力や知識をもふんだんに活用した試合構成になっていた。 ステージの優劣は実際は勝負の評価に影響を与えることは全くないが、生徒たちだけで作られるステージは各校の特色が大きく反映されるため、対抗戦の目的のひとつである”多文化の交流”の役割を大きく満たしていた。 毎年それぐらいの目的でしかないステージ制作はとくにグランナット魔法学校では軽んじられることが多かったが、今年の対抗戦でそれが大きく覆される。 レオンハルト・シュタットによるサポーターたちの良さを活かしたカストリア魔法学校のステージは、見事彼らの技術と知識が功を制し、結果1つしか敵にスターを奪われず、ステージ上に隠されたスターは誰も奪うことができなかった。 今大会では今後の対抗戦でステージの完成度も評価に入れることを検討されるきっかけとなった。 対抗戦第二試合は第一試合と違い、毎度同じステージが用意される。 そこで選手たちは魔法を駆使して戦い合い、最後の1人が残った学校が優勝となる。 第一試合とは違い、学校認可の杖や魔法道具以外は一切の使用は禁止、動植物の設置も禁止されている。 第一試合で試合中の選手たちのケアを行なっていたサポーターも第二試合では関与できない。 選ばれた選手たちの実力のみで競い合う試合となっている。 第二試合に参加できる人数は選手たちの中から、第一試合で獲得したスターの個数分の人数と、守り抜いた自身のスターの個数の半分の人数を選出できる。 グランナット魔法学校、8人。 オエナンサ魔法学校、6人。 カストリア魔法学校、5人。 鬼騎(グイチー)魔法学校、8人。 代表者の選手を含め、以上が第二試合に出場する選手になる。 攻撃魔法が要となる第二試合ではどの学校も魔力が強く最高峰の選手を選んでいた。 第二試合が始まる前、選出された選手たちが戦場となる結界内に集まっていた。 各学校指定の運動着を着た彼らは試合中の立ち回りの最終確認をしている。 オエナンサ魔法学校代表のセシルはチラリとカストリアのメンバーを見た。 今回レオンは比較的攻撃魔法が得意で会得した魔法が多い最年長のメンバーを選出している。 レオンと笑い合う彼らの中にはセシルも数名見たことがある選手もいた。 (一番人数は少ないが、ドラゴンの事件がなければ一番獲得していた選手の人数は多かった。数が少ないからといって油断はできないな……。) そして同じく、鬼騎魔法学校代表の浩然(ハオラン)は第一試合で対峙したグランナット魔法学校代表のビクターを睨みつけるように見つめる。 (……あいつの右腕の呪いはまだとかれていない。今度こそ潰す。) そして鬼騎の選手の中には小焔(シャオエン)の姿もあり、杖の代わりになる魔法リングを両手首にはめ治していると、ふいに肩を軽く叩かれた。 「なんだよ……。」 振り向くと同じ鬼騎の選手がニタニタと笑っていた。 その嫌な感じがする笑みに小焔もあからさまに嫌悪感丸出しの表情で返す。 「わかってるよな? お前はカストリアの留学生だから選ばれたんだよ。俺たちも他の奴らと仲良くしてます~ってアピールするための見せ物。選ばれた俺たちとは出来が違うんだから足引っ張んじゃねえぞ。」 見下してくる彼らの言葉に小焔は一瞬頭に血が上ったが、まだ治りきっていない二日酔いのせいで少し頭がうずいた。 そしてそのうずきのおかげで小焔は冷静さを取り戻すと、小焔はため息をついて肩に置かれた手をどけた。 「そうかよ、勝手に言ってろ。」 小焔は顔をあげ、にやりと笑う。 まるで悪戯を仕掛けようとする子供のような笑い方をする小焔からは、怒りというよりも余裕があった。 「俺も、好きなようにやるんで。」
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