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 ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、二人分の粉を入れる。口の細いポットに移し替えたお湯を、つうっと注ぐ。湯気と一緒にコーヒーの香気が立ち昇り、二人分の濃いセピア色の液体が、サーバーにぽたぽたと溜まっていく。  僕は鼻をすすり始める。 「どうしたの?」彼女はタッパーを流しに置いて、僕の背中をさすった。  僕は首を横に振った。「わかんない。でも、大丈夫。悲しいとかじゃない」  二人分のコーヒーを淹れる。  ただそれだけのことに、今朝は胸がいっぱいになる。僕は右手でコーヒーを淹れ、左手で董子を探す。  彼女の指が、僕の指と絡み合う。僕たちは軽くキスを交わす。  今夜、星を見に行こう。  ベガ、アルタイル。アルビレオ。天の川。  僕たちは、ここにいる。
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