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最後の姉妹
家は貧乏だった。お父さんが賭け事で借金作って家出して、お母さんはそれを必死になって返していた。そうしてお母さんが過労で死んだ日、突然天から力を与えられた。
「よく聞いてエミ。これからはひとりで戦うの。誰も味方なんかいない。ましてお姉ちゃんも敵になる。だからエミ、ひとりで戦いなさい」
「マイ姉ちゃん。どうしても?」
「どうしても、よ。あんたが死なないことが、あたしの願い。でも、最後にあたしとあんたが出会ったら、それはどちらかの死。いいわね?」
「そんなの…」
「あたしは躊躇なくあんたを殺す。それはわかるでしょ?あんたもそうするのよ!」
そう言ってふたり別れ戦った。妹の最後の顔は、もう覚えていない。
姉のあたしが得たのは不死の力だった。どんな攻撃も魔法も毒も効かない。どんなに体を斬り刻まれたって、どんなに高温の炎で体を灰にさせられても、あたしは生き返る力を得た。そうしてそれは永遠なのだ。それはもう、ある意味最強だと思った。寿命のある生物に、死のないものに勝てる道理などないのだから。
それがいま目の前にいる大男に、それが覆る気がしたのだ。
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