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神々の賭け
「けっきょく賭けに勝った者はいないのか」
神のうち誰かが言った。
「ではドローということで、最初から…」
「いやまて」
神々の中の最高神、エデウスは言った。
「あまたの神々の中でこの結末を予想したものがいる。それが賭けに勝った」
神々は色めき立った。それぞれの神の全知全能をもってしても結末を当てられなかった。だがただひとり、それを当てたものがいると?
「愚の神エリウレス。そなただけがこれを予想した。いわく、ふたりの姉妹が人類最強だと言い当てた」
神々は周りを見渡した。するとそこに、人間の姿をした神がいた。
「まぐれ、ですよ」
武の神ヨルンベルグはすぐさま声を上げた。
「ちょっと待て!あの姉妹におまえはあのおかしな武器を与えたな?卑怯ではないか!どちらも、互いに倒せない武器などおかしいではないか!」
ほかの神々もそれに同調した。
「おかしいな?みなさんは最強の武器、最強の知力、最強の能力を人間に与えたんでしょう?いいがかりじゃないですか?」
「いいがかりだと?互いに倒せない武器が卑怯だと…」
「いいですか?ぼくが与えたのはただ体は永遠に滅ばない、つまり死なないだけ。それがあの姉です。そしてもう一つ与えたのが、相手が死んでその魂と入れ替わるだけの妹の力。魂だけの妹は姉には殺せないし、姉が死ななくてはその肉体は手に入らないで永遠に魂だけがさ迷う妹。さあふたりがとった行動こそ、最強の武器なのです」
「どういう意味だ」
神々は困惑した。
「姉は妹が、妹は姉がいることで生きていけるのです。この先、ずっと誰もいなくても、ずっと何もなくても。それこそ永遠に。わたしたち神よりも永く、です」
「しかし神々の摂理、というものが…」
たったふたりで永遠に?それこそ愚の骨頂だ。そんなことはできるわけがない。生物として、いや自然の摂理としておかしい。
「それを破ったのは、他でもない、われわれですよね?」
それを聞いた神たちは、みなその場から消えた。あとに残った愚の神だけが、悲しそうに広い天上の広間に立っていた。
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