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神々の賭け
ことの発端は他愛もないことだった。
ある日ぼんやり地上の戦争を見ていたある神が言ったこと。それを聞いていた神が言ったこと。そしてまわりの神もそれに加わった。神たちの言い争いが始まった。
それは、現在地上にいる人間で最も優れ、そして最も強いものは誰だ、ということだった。
武の神ヨルンベルグは言った。
「この世界で最強の剣を持つ王が最強さ」
愛の神アトリエスは言った。
「この世界で最強なのは強い魂を持った者。剣で魂は斬れないし、まして剣など錆びてしまえばただのゴミ」
知の神ミシリスクは言った。
「この世界最高の知識を持つ者が強者だ。知識はすべてにおいて勝るからな」
死の神アドマゲスは言った。
「この世界で、死を超えた者。それこそが最強だ」
神々は論争し、やがて賭けになった。どの神が正しいか、そして勝った神がただひとり、この世界を支配する、そういうことになった。そうしてそれは三日間、全人類が殺しあう。最後のひとりが、残るまで。
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