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ドサッ・・・
ようやく眠りにつけそうだったのに、突然何かが上から落ちる音がした。
耳を研ぎ澄ませると、もぞもぞと動いているような音がする。
何らかの生命体であることは間違いない。
もしかして、人?
でも、どうやって、この私の部屋に入ってきたというのだろう。
明らかに上から降ってきた音だ。
それも、意思をもった何者かだ。
その何者かが降ってきた方向に目を凝らす。
何も見えない漆黒の闇の中。
数秒、数分がたっただろうか。
暗闇に目も慣れ始めたころ、遮光カーテンの隙間から、月明かりが一直線に、その何者かを照らした。
「よぅ、月子。」
月明かりに照らし出されたのは、30センチくらいの大きさの人の形をした何かだった。
驚くほどに端正な顔立ちで、ニヒルな笑みを浮かべていた。
こんなにちっちゃくて、不良みたいなやつを私は知らない。
フォルム的には、黒い・・てるてる坊主?
しかし、言葉を遣えるあたり、超高性能な人形だろうか??
ちょっと待って。
どうやって入ってきた?
これは、警察通報案件だろうか?
その前に、大声をあげるべき?
いや、そんなことしたら、殺されてしまう?
思考を巡らせていると、その高性能人形は言った。
「何とか言えよ!」
驚いた。
今度は恥ずかしそうに怒っている。
反応に困る。
「だから、「何で私の名前を知ってるの?」とか、「あんた、誰よ!」とか。」
「あ、あぁ。」
「あぁ、もう!貴様、俺様を誰だと思ってるんだ!」
ちょっと何言ってるか分からない。
初めて見る高性能人形だし。
でも、ちゃんと自分の意思で自由にしゃべれることができているあたり、人間なのか・・・?
「あ、あの。どちら様ですか??
・・こう、」
高性能な人形ですか?・・と言いかけようとすると、遮られた。
「俺様は、キングだ!レイニーキングだ!」
・・・んっ?
キング??
そんなに眩しいニヒルな笑みを浮かべられても。
キングだ!(どやっ!)って、中二病も甚だしい。
というか、中学生よりも全然スモールサイズだし。それ相応の対応をすることで許されるだろうか。
「え、えと。ぼ、ぼく~??ここ、お姉さんのおうちなの。分かる??ぼくは、どうやって、ここに入ってきたのかな??」
問いかけてみた。
「俺様をバカにすんな!!天空からに決まってるだろ!」
どうやら、私は、夢を見ているらしい。
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