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カーテンの隙間から射し込む太陽の光を浴びて、ベッドの中で伸びをする。
醒めない頭の中で、昨日見た夢を思い返す。
確か、黒いてるてる坊主みたいな高性能人形が、上から落ちてきた。
そんな非現実的な出来事に、今の私を救ってくれる救世主が現れたのかと思った。
でも、私なんかにそんな不思議な奇跡が訪れるわけがないと、すぐに心に蓋をした。
でも、もう大丈夫。
今日で全てを終わらせる。
まだ眠気の醒めない目を無理やりこじあけ、体を起こす。
ふぁあぁと大きな欠伸をしかけると、
「よぉ、月子!起きたか!」
真っ黒い帽子とマントのようなもので全身を覆っている。
帽子からはみ出る髪の毛は、明るい金髪。
そして、全身のサイズは、30センチほど・・・
やはり、フォルムは、黒いてるてる坊主(やや大きめ)。
私はまだ夢の中にいるのかと、ほっぺをひっぱってみた。
「いででで。い、痛い・・・」
その黒てるてる坊主をまじまじと見つめる。これは、夢じゃないの?
「夢じゃねー!俺様はここにいる、れっきとしたレイニーキングだ!」
れっきとしたレイニーキングって何よ。
レイニーキング自体が意味不明なのよ。
そういえば、昨日の夜も、こいつが落ちてきたから、途中で思考が止まった。
こいつの変な自己紹介を聞いて、その後から記憶がない。
そして、今日。こいつがまだいる。
え、昨日の夜からずっとここにいるってこと?
え、ちょっと、何?!!
怖っ!!
「ちょっとあんた!昨日の夜からずっとここにいるってこと??」
「そうだ!悪いか?」
昨日の夜は、暗かったし、ガキんちょと決めつけていたけど、よく見ると、顔つきは、大分大人だ。
顔つきだけ見ると、私よりも、上??
「不法侵入ですね。警察に連絡します。」
「ちょっと待て。たぶん、警察には俺様の姿は見えない。」
「はっ?何言ってんですか?」
「悪いことは言わない。とりあえず、俺様と一緒に外に出れば分かる。」
確かにこんなサイズ感の中二病真っ最中の黒てるてる坊主みたいなやつ、奇妙すぎる。私の方が頭がおかしいと思われて終わりそうだ。
とりあえず、私に危害を加えるつもりはなさそうだし、一緒に外に出てみるのもアリかもしれない。
こいつが救世主かどうかは分からない。
でも、この奇妙な状況に、なぜだか少し心が踊る。
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