分からない気持ち

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結局、アキラに会ったら沢山文句(たくさんもんく)を言ってやろう!と心に決めて登校したのに…… 今日は授業被りもなく、1度も大学で会わずにアッサリと夜になってしまった。 「HARUおはよー」 出勤後、待機室に入るとすぐに仕事仲間のあかりに声をかけられた。 「あかり、おはよう」 「って……あれぇ? 何それ、今日は店の貸しドレスじゃん。自前のはどうしたの?」 「実はちょっと、色々あって……」 どこまで話していいやら、と考えていると、勘の良すぎるあかりに 「はは~ん、さては男にキスマークでも付けられたな?」 と、いきなり大当たりを引かれてしまう。 「え?え?なんで分かったの?」 まさか見えているのかと、慌てて首元に手を置く。 「大丈夫よ、見えてないから安心して。でも、分かるよ」 「え、なんで?」 「だって~、いつもアップヘアなのに今日は完全に下ろしてるし、自慢の谷間も見せずにわざわざそんな胸から首元まで隠れたドレスを着てるんだもん」 「ねぇ、客にもバレるかな?」 「客は分からないんじゃない?ただ谷間見れなくて残念な顔はされそうだけど」 それを聞いてホッとしたその時。 「HARUさんー、ご指名でーす」 「えー!待ってよー、まだオープン2分前じゃん!通すの早すぎでしょ」 「いいじゃん、金曜だしジャンジャン稼いできな。HARUは学費とか色々あるんでしょ」 「そうなんだけど……もう少しあかりと話したかったのに」 「じゃあまた早上がりの日にでもお茶行こうよ」 「うん。そうしよ。じゃあ行ってくる」 そう言って手を振ると、一足先に待機室を後にした。
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