分からない気持ち

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「はい、お疲れ様~。今日は6万円ね」 「あれー、ちょっと少なくない?今日ラストまで入ったのに」 「いつも通り指名は沢山入ってたけど、今日は全然ボトルもフードも入ってないしね」 そう言われて日払い明細の紙を見せられる。 細かく確認したけど合っていて、口を尖らす以外に何も出来ない。 ちょっと誤算だな。 「どーしったのぉ~HARU!ぜんぜーん元気ないじゃん!」 少しテンション高めの酒臭いあかりが、私の背中に自慢の爆乳を押し付ける。 「あかりぃ……」 「なになにぃ?もしかして学費足んないとかぁ?」 「さすが連続No.1のあかり様!何も言ってないのに分かるとか本当に凄い洞察力!マジで見習いたい!」 「もっと褒めて褒めてぇ」 その後褒めちぎると、酔ってるとは思えないほどキレよく踊り出すあかり様。 「でぇ?大丈夫なのぉ?少しなら貸せるけど」 気を取り直したように聞いてくるあかりに、空気が一気に戻った。 「あかり様も大変でしょ?元夫が作った借金とか子供とかで」 「そんな事言ってる場合なのぉ?」 「そんな場合じゃ無いかも……なんだけど」 「でしょ?夢があって入った大学なんでしょ?」 「うん……でも、一応納期まであと4日あるし……。あっ、でも土曜日なったからあと3日か……。 正直キツイかも知れないけど……貢ぎ物を売るなりしたらなんとか……」 そう言って頭に浮かぶ売り物達の予想売却金額を指折り数えるけど、かなり厳しそうだ。 「そう?本当にキツくなったら、あかり様に遠慮なく言ってくれていいからねー。ちゃんと返してもらうし」 「ありがとう」 「でも、次からちゃんと毎月貯めてるといいかもね」 「そうだね。ありがとう、あかり様」 ……本当は、ちゃんと毎月貯めてたんだけどな。 なんで消えたんだろ。 心当たりが無いことは無いけど……。 いや、心当たりしか無いんだけど。 考えたくないし、深追いしたくない。 「はぁー」 暗い気持ちで店を出た私を、無情にも眩しい朝日が照らした。
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