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昔懐かしき楽屋話
「お……」
「どうした、昴」
「どうやら遠くの方で本編が更新されたみたいだ。再開したのかも」
「それは良かった」
「でも何にせよ火事話が全部終わって、次の章で仲間が出揃うまで、僕たちは待機なんだよね……、まあお茶を飲んでようか。
それにしても今日は声が出づらくてしょうがないや。
『数日誰とも話さず一人で部屋にこもってから外に出てコンビニで買い物すると店員と話せなくて詰ってしまう』なんて話を聞いたことがあるけど、正にそんな感じがする」
「いや、いつも通りに見えるが……」
「そう見えるだけなんだ。いつもなら詩のミューズが光臨したかのように好きなだけ会話を転がして行けるのに、今日は慣れない編み物の編み目をたどるように慎重に話してるんだよ」
「そういうものなのか……」
「やっぱり間が開くと良くないね」
「そうだな……ああ、菓子が冷蔵庫にあるな、和菓子と洋菓子がある、茶請けにしよう」
「僕は和菓子がいいな、きんつばなんてあったら嬉しいんだけど」
「渋い好みだな……あるぞ」
「やった!君は何にするの?」
「俺は梅昆布茶だから豆菓子にしよう」
「渋いって、君が言うかな。
てか、コーヒーじゃないんだね」
「もう午後だからな」
「午後なの?あ、本当だ、すごい西日。
ていうかここって何処なの?
起きたらいきなりここだったんだけど」
「さっき外に出たときに看板に茶道室とあった」
「あ、校内なんだ。じゃあ勝手にお茶菓子食べたらまずくない?」
「多分、大丈夫だろう」
「何でそう思うのさ?」
「外に出た時に、トイレの向こうの廊下が無いのを見たからだ」
「……は?」
「正確に言うと、ドアも鋲も無い真っ黒な壁が通路を遮断していた。
他の教室に行く通路も無い様だった。
つまり、ここには俺達以外は誰も居ないということだ」
「さ、さらっとなんて怖いこと言うんだ!
つまり、ええと、僕らはここに……」
「閉じ込められた、と言うことだ」
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