月あかりのすみれの花と初恋と。

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真夏とはいえ、森の中はひんやりとしていて、遠くのほうは霧がかかっていた。雨上がりのような土のにおいが鼻につく。ホーホーと鳥の声が聞こえ、足元には小さな虫たちが飛び跳ねている。 私は思いっきり走りだした。学年で三番目に早いタイムで走る私。トイレまではあと五十メートル。大丈夫。この坂道をのぼれば到着・・・と、トイレまであと数メートルのところで、不意にバランスを崩してしまった。
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